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飲食店の原価率とは?計算方法や目安・高くなる原因と対処法を解説

飲食店の原価率は、利益を考える上で欠かせない指標の1つです。ただし、単純に数字だけを見ればよいわけではなく、ロス率や歩留まり、FLコストなどもあわせて確認しなければ、実際の利益構造は見えにくくなります。また、原価率30%が目安と言われることもありますが、業種や立地、メニュー構成によって適正な水準は異なります。

当記事では、飲食店の原価率の基本、計算方法、目安、業種別の傾向、高くなる原因と下げる方法まで順に解説します。

1.飲食店の原価率とは?

飲食店の原価率とは?

飲食店の原価率とは、売上に対して食材費や材料費などの原価がどの程度を占めているかを示す割合です。飲食店における原価には、料理や飲み物を提供するために必要な仕入れ費用が含まれます。原価率を見ることで、各メニューや店舗全体でどれくらい原価がかかっているのかを把握しやすくなります。また、食材の使い方や仕入れ状況、廃棄の発生なども原価率に影響します。まずは、原価率が売上と原価の関係を表す指標であることを理解しておきましょう。

1-1.原価率が飲食店経営で重要な理由

原価率が飲食店経営で重要とされるのは、利益に直結しやすい指標であるためです。飲食店の利益は、売上から原価だけでなく、人件費、家賃、水道光熱費、宣伝費などを差し引いて残った分で決まります。そのため、原価率が高すぎると粗利が減り、ほかの経費をまかなっても十分な利益を残しにくくなります。一方で、原価率を下げすぎると、食材の質や料理の満足感に影響し、結果として集客力やリピート率の低下につながるおそれもあります。

原価率は、単純に低ければよい数値ではなく、売上、品質、利益のバランスを見ながら継続的に管理することが大切です。日々の数値を把握しておくことで、長期的に安定した店舗運営や判断にもつなげやすくなります。

2.飲食店の原価率の計算方法

飲食店の原価率の計算方法

飲食店の原価率は、基本的に「原価÷売値×100」で計算します。ここで言う原価は、料理や飲み物を提供するためにかかった食材費や材料費です。たとえば、売値が高くても原価も高ければ、原価率は上がります。反対に、売値に対して原価を抑えられていれば、原価率は下がります。原価率を出すときは、売上全体ではなく、まずはメニューごとの数字で考えると理解しやすくなります。まずは計算式を押さえた上で、実際の数字に当てはめて確認してみましょう。

■計算式

原価率=原価÷売値×100

■計算例1

ランチ定食を1,000円で販売し、食材原価が320円の場合
320÷1,000×100=32%

■計算例2

コース料理を2,000円で販売し、食材原価が800円の場合
800÷2,000×100=40%

売値と原価が分かれば原価率を求められます。定食やセット、コースごとに確認しておくと、価格設定や原価管理の見直しにもつなげやすくなります。

3.飲食店で原価率を求める際に考慮したいポイント

飲食店で原価率を考える際は、単純に食材費だけを見るのではなく、実際の運営に影響するほかの要素もあわせて確認することが大切です。原価率だけでは見えにくい負担もあるため、関連する指標を含めて把握する必要があります。ここでは、原価率とあわせて考えたいポイントを順に解説します。

3-1.ロス率

ロス率とは、廃棄や仕入れミスなどによって売上につながらなかった食材の金額が、売上高に対してどの程度あるかを示す割合です。ロス率は「ロス金額÷売上高×100」で求められます。

  • ・売上高:1,000,000円
  • ・ロス金額:50,000円
  • →50,000円÷1,000,000円×100=5%

ロス率は5%

原価率だけを見ても、ロスが多ければ実際の利益は減ってしまいます。そのため、飲食店ではロス率もあわせて確認し、食材がどれだけ無駄なく売上につながっているかを把握しましょう。ロス率が高い場合は、仕入れ量や在庫管理、提供数の見込みに課題がある可能性もあります。ロス率は一般的に低いほど望ましいものの、仕入れを抑えすぎると欠品や機会損失につながるおそれもあるため、適正な水準で管理する必要があります。

3-2.歩留まり

歩留まりとは、仕入れた食材のうち、実際に料理へ使える部分がどの程度あるかを示す割合です。歩留まりは「可食部÷仕入れ量×100」で求められます。

  • ・仕入れ量:2kg
  • ・可食部:1.6kg
  • →1.6kg÷2kg×100=80%

歩留まりは80%

原価率を考える際に歩留まりを見ないと、実際に使える量より多く食材を使える前提で計算してしまい、原価を正確に把握しにくくなります。そのため、飲食店では歩留まりもあわせて確認し、食材ごとの実際の使用量を踏まえて原価を考えましょう。歩留まりが低い場合は、下処理の方法や食材選びに課題がある可能性もあります。食材の見た目の単価だけでなく、実際に使える量まで見て判断する必要があります。

3-3.FLコスト

FLコストとは、食材費を表すFoodと、人件費を表すLaborを合計したコストのことです。FLコストは「(食材費+人件費)÷売上高×100」で求められ、売上のうち食材費と人件費がどれだけを占めているかを示します。

  • ・売上高:1,000,000円
  • ・食材費:280,000円
  • ・人件費:250,000円
  • →(280,000円+250,000円)÷1,000,000円×100=53%

FLコストは53%

FLコストが53%なら、売上のうち53%が食材費と人件費に使われている状態です。FLコストが高い場合は、仕入れ内容だけでなく、調理工程や人員配置に課題がある可能性もあります。原価率だけを見ても、人件費が高ければ利益は残りにくくなります。そのため、飲食店ではFLコストもあわせて確認し、食材費と人件費のバランスを見ながら管理しましょう。

4.飲食店の理想的な原価率の目安は30%

飲食店の原価率は30%前後が1つの目安とされることがあります。ただし、業態やメニュー構成、客単価によって適正な水準は変わるため、数字だけで判断することはできません。ここでは、原価率30%と言われる理由と、低ければよいわけではない考え方を順に解説します。

4-1.原価率が30%と言われる理由

飲食店の原価率が30%の目安と言われるのは、売上から食材費を差し引いた後に、人件費、家賃、水道光熱費などの経費を支払っても、一定の利益を残しやすい水準と考えられてきたためです。特に、FLコストやそのほかの固定費とのバランスを取りやすい数値として、長く1つの基準にされてきました。

ただし、近年は人件費の上昇や家賃、光熱費の高騰が進んでおり、30%という基準がどの店舗にもそのまま当てはまるとは限りません。業態や立地、客単価によって適正な原価率は変わるため、現在は30%を目安の1つとしつつ、利益額やFLコストも含めて総合的に判断しましょう。食材費だけで良し悪しを決めない視点も欠かせません。

4-2.原価率は低いほうが良いわけではない

原価率は、単純に低ければよいわけではありません。原価率を抑えすぎると、食材の質やメニューの魅力が下がり、集客や満足度に影響するおそれがあります。そのため、飲食店では原価率をメニュー単体で見るだけでなく、店全体でのバランスを考えることが大切です。

たとえば、原価率が高い看板商品で集客し、原価率が低いドリンクやサイドメニューで全体を調整する考え方があります。また、判断するときは原価率だけでなく、1品あたりでいくら粗利が残るかも確認する必要があります。売上や利益はメニュー全体の組み合わせで決まるため、原価率はトータルと粗利の両面から考えましょう。

5.業種別|飲食店の原価率の目安

飲食店の原価率は一律ではなく、提供するメニューの内容や調理工程、客単価、ドリンク比率などが異なるため、業種によって目安が変わります。ここでは、主な業種別に原価率の目安を解説します。

5-1.カフェ・喫茶店

カフェ・喫茶店の原価率の目安は、約25~35%です。コーヒーや紅茶などのドリンクは原価率が低めで、全体の数字を抑えやすい傾向があります。一方で、サンドイッチやケーキ、軽食などのフードはドリンクより高くなりやすく、メニュー構成によって差が出ます。

滞在時間が長く回転率が下がりやすい業態でもあるため、原価率だけでなく客単価やセット販売、デザート追加による売上の組み立ても含めて考えましょう。ドリンク比率が高い店ほど、原価率は安定しやすい傾向があります。

5-2.レストラン

レストランの原価率の目安は、約30~40%です。料理ジャンルや価格帯によって幅があり、ファミリーレストランは比較的安定しやすい一方、フレンチやイタリアンなどは食材や調理工程の影響で高くなることがあります。

特に、肉料理や魚介料理は原価率が上がりやすいため、パスタ、ピザ、デザートなどほかのメニューとの組み合わせで全体のバランスを取りましょう。メニュー数が多い業態では、食材の使い回しやロス管理も原価率を左右しやすいポイントになります。

5-3.ラーメン店

ラーメン店の原価率の目安は、約30~35%です。麺、スープ、チャーシュー、卵、ねぎなど主要な食材が決まっている一方で、スープの仕込みに手間と材料費がかかるため、原価率はやや高くなりやすい傾向があります。特に、食材やだしにこだわる店では数字が上がりやすくなります。

ただし、回転率が高い業態でもあるため、サイドメニューやトッピング、ドリンクを組み合わせて全体のバランスを取りましょう。廃棄ロスを抑える仕込み量の調整も、原価率の安定につながります。

5-4.居酒屋

居酒屋の原価率の目安は、約25~35%です。特徴は、料理とドリンクで原価率の差が出やすい点にあります。刺身や焼き物などのフードは高くなりやすい一方、アルコール類やソフトドリンクは比較的低く収まりやすいためです。そのため、居酒屋では高原価の看板メニューだけでなく、ドリンクや一品料理をどう組み合わせるかがポイントになります。

単品ごとの原価率だけで判断するのではなく、注文全体の構成や客単価も含めて考えることが大切です。売上全体で原価率を整える考え方が必要な業態と言えるでしょう。

5-5.キッチンカー

キッチンカーの原価率の目安は、約30~35%です。限られた調理設備と保管スペースで営業するため、扱う食材やメニューを絞りやすく、原価管理をしやすい傾向があります。一方で、天候や出店場所、人通りによって売上が変動しやすく、提供数の予測が外れると売れ残りや欠品が起こりやすい点には注意が必要です。そのため、キッチンカーでは仕込み量や在庫を細かく調整し、ロスを抑えながら原価率を安定させる工夫をしましょう。

5-6.バー

バーの原価率の目安は、約20~30%です。売上の中心がアルコール類となるため、飲食業の中では比較的低い水準に収まりやすい傾向があります。ウイスキーやカクテルは1杯あたりで見ると原価を抑えやすく、全体の原価率も下がりやすくなります。

一方で、希少な洋酒やフレッシュフルーツを使うカクテルは原価が上がりやすいため、価格設定とのバランスが重要です。軽食をナッツやチーズなどに絞ると、食材原価や調理負担も抑えやすくなります。

6.飲食店で原価率が高い食べ物と低い食べ物は?

飲食店で原価率が高い食べ物と低い食べ物は?

飲食店のメニューは、使う食材や調理方法によって原価率に差が出ます。原価管理を考える際は、高い食べ物と低い食べ物の傾向を知っておくことも大切です。ここでは、それぞれの代表例を紹介します。

6-1.原価率が高い食べ物

原価率が高い食べ物には、刺身盛り合わせ、寿司、高級肉を使ったステーキや焼肉、果物を多く使うスイーツなどがあります。こうしたメニューは、食材そのものの仕入れ価格が高いことに加え、鮮度が求められて保存しにくく、廃棄が出やすい点も特徴です。

また、ハンバーガーのように具材の種類が多く、単品でも満足感を求められるメニューは、原価率が高くなりやすい傾向があります。原価率が高いメニューは利益率だけを見ると不利ですが、看板商品として集客に役立つ場合があります。飲食店では高原価の食べ物を単体で判断するのではなく、ドリンクやサイドメニューも含めて全体のバランスを取る考え方が必要です。

6-2.原価率が低い食べ物

原価率が低い食べ物には、フライドポテト、冷奴、枝豆、パスタ、カレー、丼物などがあります。こうしたメニューは、比較的仕入れ価格を抑えやすい食材を使いやすく、保存性が高いものも多いため、原価率が低くなりやすい傾向があります。

また、コーヒーや紅茶、サワーなどのドリンク類も、食べ物とあわせて利益を確保しやすい項目です。原価率が低いメニューは、店舗全体の収益を支えやすい一方で、それだけでは集客につながりにくい場合もあります。飲食店では原価率が高い看板商品と組み合わせながら、注文されやすい構成に整えていくことが求められます。

7.飲食店で原価率が高くなってしまう原因と下げる方法

原価率が高くなる背景には、価格設定、廃棄ロス、仕入れ先の選び方など、いくつかの原因があります。数値だけを見て判断するのではなく、何が原価率を押し上げているのかを把握した上で対処することが必要です。ここでは、主な原因と下げる方法を順に解説します。

7-1.商品価格が原価に対して低すぎる

商品価格が原価に対して低すぎると、売上に対して食材費の割合が大きくなり、原価率は高くなります。特に、競合店に合わせて無理に値下げした場合や、商品の魅力を十分に伝えられないまま安売りしている場合は、利益を残しにくくなります。

対処するには、まず原価と粗利を踏まえて価格設定を見直し、安さではなく、味、量、接客、店の雰囲気などで差別化を図ることが有効です。また、単品の値下げだけで対応するのではなく、高原価の商品と低原価の商品を組み合わせたセットや定食で全体の収益を整える方法もあります。値上げを行う場合は、急に大きく変えるのではなく、付加価値が伝わる形で段階的に見直すことが現実的です。

7-2.食材の廃棄やロスが多い

食材の廃棄やロスが多いと、売上につながっていない食材費まで原価に含まれるため、原価率は高くなりやすくなります。仕入れすぎによる売れ残り、在庫管理の甘さ、調理ミス、提供数の見込み違いなどが重なると、無駄なコストが増えやすくなります。

改善を図るには、廃棄が出やすいメニューや時間帯を把握し、発注量や仕入れ頻度を見直すことが有効です。あわせて、食材を使い回しやすいメニュー構成にしたり、可食部を無駄なく使える調理方法を取り入れたりすると、ロスを抑えやすくなります。保存方法の見直しやスタッフ教育、オペレーションの整理も、日常的な廃棄やミスの削減につながります。

7-3.仕入先の選定が適切でない

仕入先の選定が適切でないと、同じ食材でも仕入れ価格に差が出やすくなり、原価率が高くなる原因になります。価格だけで選ぶのではなく、品質、納品の安定性、発注のしやすさまで含めて見ないと、結果としてコストがかさむこともあります。

まずは現在の仕入条件を整理し、価格や納品体制を比較しながら、仕入先を見直せる状態にしておくことが欠かせません。また、特定の仕入先に依存しすぎないようにしながら、旬の食材を取り入れた限定メニューを組む方法も考えられます。仕入れ環境に合わせて使う食材やメニュー構成を調整できるようにしておくと、原価率の上昇を抑えやすくなります。

まとめ

飲食店の原価率とは、売上に対して食材費や材料費がどの程度を占めているかを示す割合です。原価率を把握する際は、ロス率、歩留まり、FLコストもあわせて確認し、実際の利益構造を立体的に見ることが欠かせません。一般的には30%前後が目安とされますが、業種や立地、客単価によって適正な水準は異なります。

原価率は低ければよいわけではなく、高原価の看板商品と低原価のメニューを組み合わせながら、全体のバランスで考えることが必要です。価格設定、廃棄ロス、仕入先の見直しを進めることで、原価率の改善につなげやすくなります。

利益アップにつながる商品選びを

原価率を見直す際は、数字の分析だけでなく、日々使う食材やメニュー構成を見直すことも大切です。 ミクリードでは、高収益メニューに活用しやすい食材から、調理負担を軽減する便利食材まで幅広くご用意しています。
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