工場で冷凍して、提供時にリベイク! おいしくて食品ロスのない「冷凍パン」は飲食店の新常識

※この記事は、2022年6月16日の情報で作成されました。

さまざまなパンが並ぶ
全種類食べたくなってしまうたくさんの焼きたてパン。冷凍パン生地や焼成済み冷凍パンが、品ぞろえを支えています。

街にはベーカリーカフェが並び、おいしいパンとコーヒーをいつでも楽しめるようになりました。ホテルやレストランでの食事でも「焼きたてのパンが楽しみ」という人はたくさんいます。

食パンやロールパン以外に、職人にしか作れなかったおいしいパンを誰でも提供できるようになったのは「冷凍パン技術」が発達したからこそなのです。


目次 -INDEX-


実は50年以上も前から続く、冷凍パンの歴史

冷凍食品はここ数年で一般向け商品も増え、冷凍パンを冷凍のまま販売するお店や通販も多くなりました。でも、冷凍パンの技術の歴史は50年も前から始まっています。

かつて、パンは職人でないと作れないものでした。酵母の機嫌を取り、気温や湿度を測りながら発酵させ、職人の経験と感覚で焼き上げる。ベーカリーを経営するには技術の習得が必要だったのです。

深夜に起き出して仕込みをはじめ、早朝には数種類の焼き立てパンを店頭に並べなくてはなりません。焼きすぎれば売れ残りになり、仕込みが足りなければ夕方には開店休業です。

深夜からパンの仕込み
朝食の時間に間に合うように深夜から仕込みます。

ここに革命的な「冷凍パン生地」を開発し、店舗ではそれを焼き上げるだけにしたのが「アンデルセン」です。アンデルセンは日本のベーカリーチェーンの先駆けで、1970年ごろには冷凍パンに特化した工場を広島に建てました。

この冷凍パン生地の流通によって、従業員の技術修行や早朝業務を減らし、売れ行きに応じてパンの量を調整することもできるようになり、チェーン展開が可能になりました。

食パン以外のさまざまなパンを朝から食べられるようになったことで、日本のパン食は一気に加速したのです。冷凍パンがなければ、現在のベーカリーカフェブームはあり得ませんでした。

焼成済み冷凍パンの商品化を加速したインバウンド需要

朝食ビュッフェのパン
朝食付きホテルのビュッフェには数種類のパンが並ぶ…はずでした。

冷凍パン生地や半焼成パンは比較的早期に全国のベーカリーやホテルに広まりました。そこから近年になって焼成済み冷凍パンが普及してきた一因には、宿泊施設のインバウンド需要があります。

日本を訪れる外国人旅行者は年々増加し、東京オリンピックを前にホテル建設はピークを迎えようとしていました。しかし、そのホテルレストランを支えるプロの料理人の数が圧倒的に足りません。経営的な観点からも正規雇用の料理人を多く抱えることは難しかったのです。

低価格帯のホテルの人材不足はより顕著で、朝食ビュッフェを早くムダなく種類多く提供する必要がありました。このことによって、焼成済みの冷凍パンのニーズはさらに拡大しました。

残念ながらコロナ禍によって外国人旅行者は停止し、ビュッフェ方式も縮小されてしまいましたが、多くの食品メーカーが冷凍パン市場に参入し、商品を拡大したことにより、多種類のパンを少量ずつ仕入れられる業務用商品は一気に増えたのです。

食品ロスへの課題意識で冷凍パンのイメージにも変化が

日本の食品ロスはおよそ年間600万トン(厚生省発表より)と言われ、解決すべき大きな課題として人々の考え方も変化しています。

ご存知の通り、パンの賞味期限はあまり長くありません。だから、家庭では「食べきれなかったパンを冷凍する」ということは行われてきました。そのためか冷凍パンには「家庭で仕方なく冷凍して食べている古いパン」というイメージが強かったように思います。

ところが食品ロスの問題が知られ、そこに「あえて急速冷凍した焼きたてパン」が登場したことで、この抵抗感は一気に解消されるようになりました。

冷凍したパン
「家庭や店で残ったパンを冷凍」から「焼きたてのうちに工場で冷凍」へ

工場で焼きたてのままをすぐ冷凍

パンは焼きたてが一番おいしく、そこから徐々においしさが損なわれていきます。これを「老化」と呼びます。でんぷんが糊化(α化)してふわふわ・もちもちした食感になったパンが、時間の経過とともにパサついて固くなる現象です。

油脂や砂糖などを加えて老化を遅らせる工夫をしているパンもあります。しかし、小麦粉と塩と水だけ、のようなシンプルなパンほど老化は避けられません。冷凍パンなら、余計な成分を加えることなく、そのパン自体の焼きたてのおいしさのままで時間を止めることができます。

「食べきれなかったら冷凍」から、「買ったらすぐ冷凍」へ。さらに「作った工場で焼きたてをすぐ冷凍」したパンへ。冷凍パンは、いつでもおいしく提供できるパンとして存在感を高めているのです。

冷凍パンを焼きたてに!押さえておくべき「リベイク」の基本ポイント

焼成済みのパンを焼きたてのような状態に戻すことを「リベイク」と呼びます。
「トースト」は、スライスした断面に新たに焼き色を付けるようなことを指し、リベイクはそれとは少し違います。

リベイクの基本ポイントは、高温のオーブンやトースターで短時間軽く加熱することです。ここからいくつかのコツをご紹介します。

冷凍パンをリベイク
オーブンやトースターで焼きたてを再現するポイントは?

リベイクは「高温で短時間」が基本

まず、オーブンやトースターを予熱しておくのが短時間リベイクの大事なポイントです。加熱を始めると、冷凍で閉じ込めていた水分が解けてふわふわ・もちもちを取り戻しますが、冷えたトースターでは温まる時間がかかり、その間にパンの水分が飛んで行ってしまいます。

オーブンやトースターは予熱して
冷えたオーブンやトースターは使わず、必ず余熱!

冷凍のままリベイクしてOK

短時間でリベイクするためには、あらかじめ解凍しておくのがベターではあります。外が焼けても中が冷たいままだったりするからです。しかし事前に解凍することは、冷凍で封じ込めていた水分が蒸発していくことでもあります。

ロールパンやスライスされたパンであれば、冷凍のままからのリベイクで大丈夫です(冷凍状態から160℃のオーブンで4分程度:目安)。大きくて水分の多いパン(重いパン)の場合はあらかじめ解凍しておきましょう。


リベイク前の霧吹きで表面パリッ!

バゲットやフランスパンタイプのハードブレッドは、皮のパリッとした食感を蘇らせるのが大事です。

これをリベイクするときは、丸ごと霧吹きして濡らします。表面に乗った水分が一気に蒸発して、焼きたてと同じ状態を再現することができます。

冷凍バゲットに霧吹き
バゲットは霧吹きで皮に水を吹きかけてからリベイクします。

「霧吹きリベイク」で皮がパリッとおいしく!
ハードタイプのパン

バゲット〈コダマ〉 1本 約30×7×5cm程度。フランスパンらしい硬さのあるバゲットです。
商品番号:124372「バゲット〈コダマ〉 1本」
バゲット〈テーブルマーク〉 1本 約40×8×5cm程度。ややソフトな味わいのバゲットです。
商品番号:148268「バゲット〈テーブルマーク〉 1本」
石窯バタール 1本 約29.5×9.2×7cm。バゲットより少し太めのフランスパンです。
商品番号:129270「石窯バタール 1本」
ドッグパン(ソフトフランス) 10本 長さ約18cm。ドッグやサンドに使いやすいサイズ。切り込みは入っていないのでミニバゲット風にも使えます。
商品番号:147588「ドッグパン(ソフトフランス) 10本」

小さなロールパンもリベイク前の霧吹きでふわっ!

ソフトなふっくらタイプのロールパンも、霧吹きで表面に水分を与えます。

ソフトで小さなパンは、リベイクによってどうしても中の水分が失われやすいので、あらかじめ水分を補充するイメージです。中の水分が守られてふっくらもちもち食感を蘇らせる効果があります。

冷凍ロールパンにも霧吹き
ソフトなロールパンも、水分を足すことで中はふわっと、外はサクッとリベイクできます。

「霧吹きリベイク」で中がふっくら!
ソフトタイプのロールパン

胚芽ロール 10個 直径約6cm、厚さ4cm程度。口溶けのよい生地に小麦胚芽を加えた丸パンです。
商品番号:127342「胚芽ロール 10個」
ライ麦パン(全粒粉入り) 10個 約7×8×4cm程度(四角形)。全粒粉を使用したライ麦パンです。
商品番号:147030「ライ麦パン(全粒粉入り) 10個」

スライス済みのパンや焦げやすいパンはアルミをかぶせて

スライス済みのパンも、同様に霧吹きしてからリベイクします。スライス面からは水分が逃げやすいので、アルミを軽くかぶせてリベイクします。
(リベイクではなくトーストしたい場合は水もホイルもせずに香ばしく焼き色をつけましょう。)

アルミをかぶせる
上火が当たりすぎないようアルミをかぶせます。
アルミでくるむ
天板に乗せない場合は下火も当たるのでアルミで軽くくるみます。

小さいロールパンは、体積に対して表面積が大きいので、水分が失われやすいことがあります。霧吹き後にホイルで軽く包んでリベイクすると、ふっくらした焼きたて感が戻ります。

また、バターロールのような表面にツヤがある(卵が塗ってある)パンは、そこが先に焦げてしまうのでホイルをかぶせましょう。

小さなパンはアルミでくるんで
小さいロールパンは霧吹きしてアルミをかぶせましょう。表面に砂糖や卵が塗ってあるものも同様です。

パンくずが出ない均等カット!
スライス済みのパン

バゲット(1.9cmスライス) 約7.5×37×5cmのバゲットを18枚スライス(両端含む)。厚さ19mm程度でオードブルにも便利。
商品番号:148888「バゲット(1.9cmスライス)〈Pasco〉 1本」
カンパーニュ(スライス)〈Pasco〉 1本 約24×11×7cmのライ麦入りカンパーニュ(田舎パン)を、約14mmスライスしました。
商品番号:148744「カンパーニュ(スライス)〈Pasco〉 1本」

クロワッサンは、リベイクしたら休ませる

クロワッサンやデニッシュなど、バターや油脂の多いパンは表面が先に焦げやすいので、アルミをかぶせてリベイクします。

そしてリベイクをしたら「2分ほど休ませる」のがコツ! リベイク直後はバターや油脂が溶けだしたアツアツの状態です。これが粗熱が取れて落ち着くと、バターや油脂分の甘みも感じられ、層になっている生地もサクサクしてきます。

クロワッサンはリベイク後休ませて
クロワッサンはリベイク後に少し冷ますことでもっとおいしくなります。

ミニサイズのクロワッサン

クロワッサン 10個 長さ約10cm、幅5cm程度のミニクロワッサン。バターを使用したリッチな風味が豊かな24層の生地を焼き上げました。
商品番号:128201「クロワッサン 10個」
カジュアルクロワッサン 10個 長さ約10cm、幅5cm程度のミニクロワッサン。バター入りマーガリンを使用することで少し安価。あっさり軽い口当たりです。
商品番号:148199「カジュアルクロワッサン 10個」

まさに裏ワザ!バゲットは裏から切ると切りやすい

皮が硬いバゲットは、切るときにつぶしてしまったり、せっかくの皮が砕けてパンくずだらけになりがちです。

バゲットは切りにくい
皮が硬くて切りづらく、散らかったパンくずが他の料理に入る…

パンナイフを使えばかなりきれいにカットできますが、包丁でも切りやすい裏ワザがあります。それは、裏から切ること!

裏から切ると切りやすい
包丁でも、裏から切ると切りやすい


冷凍庫での保存は密封が重要

冷凍パンは、焼きたてパンを工場で急速凍結して、おいしさや水分を閉じ込めた商品ではありますが、冷凍庫内は乾燥しているので少しずつ老化は進んでしまいます。開け閉めの多い冷凍庫では温度変化で霜が付いたり、他の食品のにおいが移ったりもします。
密封の袋や容器で保存し、できるだけ早めに使用してください。

パンの焼ける香りが漂う、おいしい香りのお店になれる!

パンは料理の脇役であることも多く、ライス同様にお代をいただかないこともあると思います。だからこそそのパンがおいしい、種類が楽しめる、というのはそれだけでとても高評価です。
なによりも、パンの焼けるおいしそうな香りはそれだけで食事のシーンを楽しい気分にさせてくれるものです。

ベーカリーカフェのようなパンを主力商品にしている現場でも、多くの飲食店が冷凍パンを上手に活用しています。もう飲食店では冷凍パンのリベイク提供は常識。
ぜひ、冷凍パンを賢く使って、リベイクで焼きたてのおいしさをムダなく無理なく提供してみてください。

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